――でもね、
優しくされれば優しくされる程、“卒業”という名の“別れ”が辛いんだよ。

そんな女ゴコロを凜久は分かってない。


そんな優しくされたら……

もっともっと一緒にいたいって、離れたくないって。


普段は毒舌な凜久だからこそ、そう思っちゃうんだよ。



「じゃあ僕、行くね」

「……、うん」


凜久の背中を見送る。


小さな背中の上……
学校の庭木は、もう蕾を膨らませて春が来るのを待ちわびている。



卒業、という日は……

もう
すぐそこまで近づいていた。