「はぁ……」

「どうしたの?ため息付いちゃって」

隣の凜久は、不思議そうな表情で顔を傾けた。


私の人見知りもすっかり治り、凜久のことも“くん”付けしないで呼べるようになった今。


私は重大な悩みを抱えていた。



「もうすぐ……ぐすっ」

「ちょっ、泣かないで」


――卒業のこと?


凜久の言葉の聞いて、さらにジワッと涙が溢れる。


この学校で過ごした2年間。

凜久や、ヨウくん。


今では毎日のように寄るようになった、ハニーハウス。

私の悩みを親身になって聞いてくれたおばさん。


いじめだらけだった学校生活が、こんな風に楽しく感じたのは初めてだった。