「……っ、」

憂いを帯びたその瞳の奥。

小さく灯した炎を、奥に奥に隠して。

長いまつげが影を落としていたのが、ついに私を捉えた時。



呼吸が一瞬、止まる。



昨日からずっと不思議だった。


どうして、どうして凜久はこんなに大人っぽいの?

風邪を引いた人はみんなこうなるの――?


これ以上目を合わせていたらきっと私ダメになる……。

熱に浮かされて、溶かされて。


――どうにかなってしまいそう。


本能的に、そう思った。





「なんで逸らすの」

このドキドキを悟られたくなくて視線を逸らせば、不意に長い指に顎を捉えられる。


どうしよう、どうしよう……。


心臓が爆発しちゃうよ。



「んン……っ」

まだほんのりとハチミツの味が残る唇が押し当てられて。

唇から顔を出した真っ赤なそれにつつかれれば、誘われるままに唇を開いてしまう。