――『あの人、嫌い』
あのお泊まりの事件以来、凜久はあおいを毛嫌いしてるんだ。
凜久曰わく、いつも俺たちのいいタイミングをぶち壊してくれる。
――『俺の目の前で瑠璃とイチャイチャしやがって』
あれは、凜久にヤキモチを妬かせるあおいのひとつの作戦だったんだけど。
部屋の脱衣場で浴衣を脱がされそうになった私は、あおいのお陰で助かっちゃったんだけど。
……凜久はそれを今でも根に持っている。
「瑠璃、本当に行かないの?」
――せっかく一緒に浴衣とか揃えたのに……
「ん、ごめん……」
「だってお祭り今日しかないんだよ?」
なかなか食い下がらないあおいについに凜久がキレた。
「うるさいんだけど。瑠璃は行かないから」
――ってか、行かせないし。
ベッドに腰掛けていた私のお腹に腕を回して、グイッと強引に後ろに引き寄せられた。
「わわ……っ」
凜久の胸へと倒れ込んでしまった私は、顔を赤くさせる。
みんなの前だと、――恥ずかしいよ……。