「涼しい……」
冷房が効いたお店は、私の熱をあっという間に下げてくれる。
本当は凜久と一緒に飲むつもりだったのに……
誘惑に負けてしまった私は、シェイクをひとつ頼むと奥のテーブルへと向かった。
「ごめんね、凜久。すぐ戻るから……」
口の中に広がるバニラとハチミツの味にうっとりしてると
「あっ! 瑠璃じゃない?」
「偶然だな」
よく見知った声が後ろから飛んできた。
「で、何? そのヒトタチ」
ズズッ……とハニーシェイクをすすりながら、不機嫌オーラ全開の凜久が口を開く。
「お見舞いよ! お み ま い」
手ぶらのあおいはまったく説得力ナシ。
「悪ぃ」
ヨウくんは反対だったんだけど、あおいの気迫に負けてここまで来てしまったんだ。
「……」
そんなあおいをチラリと見ると、今度は私にじっとりと湿った視線を送る。
“何で連れてきたの?”
“ヨウはともかく”
口にしなくても、凜久の言いたいことがジリジリと伝わって来た。