一本の、細い糸の上を渡っている俺。
その先で待つ、笑顔を浮かべた瑠璃。
片手にハサミを持ち、その糸を簡単に切って俺をオトしてしまったのは……
瑠璃という、無防備な小悪魔。
「凜久……」
「ん?」
「キス、……しよ?」
胸に埋まったままだった瑠璃の顔がゆっくりと持ち上がって。
少し顔を傾けた瑠璃が、ためらう様子もなく距離を縮めて来る。
唇が触れる寸前
ほぼゼロに近い距離を埋めたのは……
「…ん……」
小悪魔になりきれなかった瑠璃ではなく――俺の方。
頭では分かっているのに――…
「…ん、ふ……っ」
予想以上に柔らかくて、チョコみたいに甘い唇。