「……」

「……」

帰りの車の中は、沈黙が続いた。


お腹にランドセルの入った大きな箱を抱えながら黙ったままの空ちゃん。



「――…ッ!」

不意に、私の手に空ちゃんの小さな手が重なる。


「勝負には負けたけど、凜久お兄ちゃんを好きな気持ちは変わらないもんっ」

おばさんに見つからないように、赤い舌を目一杯出してあっかんべーをしてくる。


そんな生意気な発言を連発する空ちゃんだけど。



「きっと、疲れちゃったのね」

「空はツンデレだから。表面上は生意気でも、きっと瑠璃のことすごく好きだよ」

私の手を握りしめたまま眠ってしまった空ちゃん。


きっと、新しいランドセルを背負って学校に行く夢でも見ているのかな――?



天使のような寝顔を盗み見ながらふふ……っと笑いをもらした。