涙で濡れた赤いほっぺ。
「……空」
凜久が、持っていたハンカチで空ちゃんの涙を拭っていく。
それでも溢れ出した涙は止まらなくて――
「ママもパパも、仕事ばっかり!空に構ってくれないもん!」
「……」
凜久の瞳が悲しい色に変わって。
空ちゃんが遊びに来るのは、ただ凜久が好きだからって思ってた。
ランドセル選びは、お母さんとお父さんと行くものじゃないかな。
けど……、仕事の忙しい空ちゃんのパパとママは、凜久のおばさんに仕方なく頼んで。
それが今――、空ちゃんの心に傷となって残ってしまったんだ。
「大嫌いなママとパパが付けた名前なんて嫌いっ!」
自分の言った言葉で、自分を2度傷付けて。
空ちゃんは、わんわん泣いた。
自分の両親が付けた名前。
例え、嫌いになってしまっても、ちゃんとその名前に意味があると思うの。
空ちゃんの名前に込められた、両親の願い。