ビックリして振り返ると
「空、水色嫌い!」
涙で濡れた視線の先は、“空色”と書かれたランドセル。
「え、……?」
一瞬、何を言われたのか分からなくて。
「名前と一緒にしないで!」
そんなつもりじゃなかった。
“空”ちゃんだから、水色とか。
“空色”って色があること自体、知らなかったんだ。
最初は空ちゃんが“何に対して”怒っているのか分からなかった。
――……でも
「う……っ」
凜久の胸に顔をぴったりくっつけて泣きべそをかく空ちゃんに。
もしかして――
「空ちゃんは……自分の名前が、嫌いなの――?」