――『瑠璃が今、小学生に戻るんだったら、何色がいい?』
凜久の視線の先には、ランドセルを背負う小学生の女の子。
――『水色がいいな』
なんで?って聞かれて、ただ単に女の子が水色っていうのが可愛いのと。
――『空の色って好き』
夏休みの終わりに凜久と見た、あの透き通る水色をした空が忘れられないの。
そう話すと
――『ピンクって言わないとこが瑠璃っぽい』
凜久はそう言って、クスッと笑った。
おばさんが買い物をしに、このフロアを離れたら一変。
空ちゃんの態度が急に変わる。
「……」
最初はチクチクだった視線が、今じゃグサグサ刺さる感じに。
視線の先、
その鋭利さと強度、20%UPみたいな――…。
「私も……少し他のとこ見てくるね」
空ちゃんだって、凜久とふたりきりで見たいと思うし。
「空――…」
背中に聞こえてきたのは、空ちゃんの涙声だった。