―――――――

『…ふーん…そんで、こんな薄着で一人で此処にいるわけ…だ?』

これが、一通り私の話を聞いた彼の感想だった。


『…まぁ…そんなとこ…』

もっと透のしたことを一緒になって責めてくれると思っていた私は、少し納得のいかない表情でそう零した。



秋風がまた冷たさを増している。

ビルの隙間から窮屈そうに顔を覗かせる空も、ほぼ漆黒に近い色合いになっていた。


透の部屋を飛び出してから…

どれぐらいの時間の経ったのだろう……


ふとポケットに手を伸ばす。


また…透からのメールは増えているのかな……



ポケットの上から浮き上がる携帯の感覚に、ふと手を止めた。






『…彼氏から…連絡とか来てんじゃねぇの?』

私が携帯を取り出そうとしたのを悟ってか、彼がそう零した。


『……どうせ…私のことなんて心配してないよ……』

未だ読まれてはいない透からのメールの存在を知りながらも、意味の分からない強がりを言ってしまう。


心配してるの分かってるくせに…

心配して欲しがってる自分にも……気づいてるくせに…


『……何で…?普通、彼女が部屋飛び出したらむっちゃ心配するぜ?』

そう言って覗き込む瞳に、無意識に心臓が反応してしまった。

年下だと分かれば今度は、小さな仕草が可愛く見えてしまう。


『……ほら…携帯見てみなって』

『いっ、いいってばっ』

『何変な意地張ってんだよ、ほら、ポケットん中あんだろ?』

そう言いながら彼は私のポケットから携帯を取り出そうとする。

『ちょっ…!』