『…元気に…なったでしょ…?』
得意げに浮かべられた微笑み…
幼さの残るその表情が、そんなにも穏やかな笑みを見せるとは思わなくて、つい見つめてしまった。
私はまた慌てて視線をそらして俯く。
『な、何言ってんのよ私は最初から元気だし…っ』
『……ほんとに…?』
ゆっくりと響いた声の主は、まるで私の心の中を悟っているかのようだった。
私がグッと口を結ぶと、彼はそんな私の思考さえ読んでいるかのようにフッと笑って正面を向く。
『…なーんか嫌なことありましたーって顔に書いてありますけどー?』
頬杖をつきながらわざとらしく落とされる言葉。
図星で、私はますます固く口を結んだ。
『…彼氏と…何かあったとか……?』
彼の視線がチラッと私に向けられる。
俯いたままの私にも、真横にいる彼の視線が私に落とされたことくらいは感じ取れた。
『……振られたんだ?』
『…っ振られてないっ!!ただ……っ』
むきになって顔を上げてしまった私を見て、また彼は得意げに笑う。
やられた…
私は眉をひそめた。
そんな私に、彼はまた言葉をかける。
『…ただ……何…?続き気になるんだけど』
茶色の瞳が不機嫌な私の顔を覗き込む。
彼が顔を傾かせると、耳についた銀色の鎖のようなピアスがチャラ…と揺れた。