『……心………寒そう………』




悲しそうに呟く彼の瞳は私の瞳の先を突き抜けて

そんなはずはないのに

私の心の奥深くまで

全てを悟っているかのようだった。



握られた手首がいきなり熱を持ち始め、左胸に当てた手は自らの拍動の速さに戸惑っている。



『ちょ……っ』


私がその手を振り払おうとすると、彼の手はスッと私の手首から離れた。


え…?


急に温もりを失ったことに違和感を覚えながら、ふと顔を上げると…



『なぁ~んちゃって』




『…は?』



さっきまで深刻そうな顔をしていたその瞳はパッチリと開かれ、揚げ句の果てには、小さく舌まで出されている。



『今……ドキッとしたでしょ?』


『………』

呆気に取られすぎて言葉が出ない。

宙ぶらりんになった右手を浮かせたまま、あんぐりと口を開けることしかできなかった。



『ククッ……すんげーアホ面っ』


『なっ……!!!』

拳を口に当て、まるてわ私を小馬鹿にしたように笑う。

私はカッと目を見開いて怒鳴りつけた。


『し、しっ…失礼なやつね!!あ、あたしがどんな顔しようと関係ないでしょ!!』


思わず握り締めた拳を振り上げると…