「あんたがおもしろくなくても
未央ちゃんがおもしろければいいの。
それにこれ、
未央ちゃんの為に用意したみたいだし」



「え…あたしの為…?」



「ジンクス考えたのは
あたしとたっくんだけど…
未央ちゃんに伝えた創吾の嘘の話は
優が言い出したことなの。
滅多にあんなこと言わないから
何が目的だったのかよく分からないけど、
未央ちゃんにつらい思いさせたと思って
そのお詫びに用意したんじゃない?」



「そう…なんですか…」



優先輩が、あたしの為に…。



「…おい」



チケットを見つめていたあたしは、
獅堂先輩の声に顔をあげた。



「行きてぇか?遊園地」



「え?」



「お前が行きてぇなら行ってもいいぞ」



そう言った先輩は、
言葉とはうらはらに
めんどくさそうな顔で
チケットをちらつかせた。










…と、言うわけで、
文化祭の代休を利用して
遊園地に来たあたしと獅堂先輩。



これって一応、初デートなわけで…
緊張もしたし、気合も入れた…。



それに、昨日の先輩の雰囲気からして
あまり乗り気じゃないのは
分かってたから、
それなりに覚悟もしてきた。