その時のことを思い出したのか
美紅先輩はくすっと笑った。



「まぁ、協力って言っても
ほとんどやること無いから、
未央ちゃんに計画がバレないように
見張ってもらってただけだけどね」



“花火って何時頃なのかなあ?”



そっか…
だから楓ちゃん、あの時あんなことを…。



「今頃たっくんと
花火の後片付けでもしてるんじゃない?」



「お前は手伝わねぇのかよ」



「だって、なんかいい感じなんだもん、
あの2人。
急に『用事思い出した』とか言って
優がいなくなっちゃったから
残ったあたしはお邪魔でしょ?
まあ…ここに来ても
お邪魔だったみたいだけど?」



「黙れ。つーか、なんだよ優の用事って。
俺のことだましてたくせに
謝りの一言も無しかよ」



「どうせ夏芽ちゃんのとこじゃない?
あの2人も最近いい感じだし」



なつめちゃん?優先輩の彼女さん…かな?



「あ。そういえばこれ、
優が2人に渡してくれってさ」



そう言いながら美紅先輩が取り出したのは
2枚の紙切れ。



「なんだこれ…遊園地のチケット?」



「明日は文化祭の代休でしょ?
せっかくだしデートしてきなよ」



「デートって言ったって、
俺遊園地なんて行ったことねぇし…
そもそもおもしれぇのかよここ」