「あら?あらららら?」



結構な勢いで投げつけられたのに
痛がる素振りも無く、
むしろ嬉しそうにクッションを拾うと、
美紅先輩はまたにやっと笑った。



「どうしたのかな~?顔赤いけど…
そんなに未央ちゃんに知られたくない?」



「だから黙れって…」



「そうだよね~恥ずかしいもんね~
獅堂創吾ともあろう男が
告白ごときも出来ないなんて
大好きな未央ちゃんには
絶対知られたくないよね~?」



「てめぇ…ぶっ殺すぞ!」



「またそんなこと言って。
冗談でもダメって何度も言ったでしょ?」



ぶちギレ寸前の獅堂先輩に向かって
まるでお母さんみたいな美紅先輩。



それに、美紅先輩の言ってた通り、
獅堂先輩…なんだか顔が赤いみたい。



美紅先輩の言ってること、
本当なのかも…。



「…んなこと今はどーでもいい。
おい美紅、なんなんだよあのジンクス」



「何が?」



「お前言ってたよな?
昨年もジンクス実行した奴らがいたって。
けど、未央から聞いた話だと、
後夜祭での花火の打ち上げは
何年か前に中止になってるらしいぞ。
どーいうことだよ」



さっきのやり取りもあるからか
睨みつける獅堂先輩に対して、



「あ、バレた?」