あれ?でも…。



「…美紅先輩、言ってましたよね?
獅堂先輩があたしに飽きたから
もう関わらないようにって…
それなのに、くっつける作戦って…」



「ああ。あれ全部嘘だから」



「…へ?う、嘘!?」



「なんかその方が面白そうだったのよね。
ほら、自分に飽きたはずの創吾から
いきなり告られたら感動も倍増でしょ?
未央ちゃんにとって
いい思い出になると思って…ごめんね?」



楽しそうにそう説明する美紅先輩に
あたしはぽかーんと口を開ける。



「ほらな?俺の言った通りだったろ」



ため息まじりに獅堂先輩が口を開いた。



「くだらねぇことばっかり考える
くだらねぇ奴等なんだよ。
まともに相手してると疲れるだけだ」



「な~に?その言い方」



獅堂先輩の言葉に腰に手を当て、
目を細めてにやっと笑った美紅先輩。



「あたし達は協力してあげてるのよ?
普段は『女の方から寄ってくるんだ』
とかえっらそうなこと言ってたくせに、
やっとまともな恋を見つけたと思ったら
“好きだ”の一言も言えずに
うじうじうじうじしてる
ヘタレな創吾くんの恋に…」



パシッ



急に美紅先輩の声が途切れたと思ったら、
獅堂先輩がクッションを投げつけていた。



「…黙れ」