「おはよう未央」



家の門にもたれかかり携帯をいじってた楓ちゃんは私を見つけて携帯を閉じた。

「ごめんね、楓ちゃん。お待たせ」



ブレザーのボタンを留めながら小走りで楓ちゃんに駆け寄る。


「気をつけて行ってこいよー!」



満面の笑みで手を振り見送るお兄ちゃんに私は苦笑いを浮かべながら小さく手を振り返す。



「あいかわらずだね、吏雄くん」

「笑いごとじゃないよ…」

「いいじゃん?仲がいいってことで。ってか…昨日はごめんね?」

「あ、ううん。仕方ないよ」

「で?先輩には会えた?」


にやにやしながらそういう楓ちゃん。

昨日、あの後楓ちゃんのとこに戻ると楓ちゃんはいなくて、

〔バイトあるの忘れてた!ごめんけど先帰る!話は明日聞くね?〕


こんなメールが届いていた。

だから楓ちゃんには何も話せていない。


私はためらいながらも昨日のことを説明をした。