「ほらぁー!!璃都ちゃんがおっきな声だすからぁー!!笑」
「違っ!!あたしのせいじゃなくてお母さんたちがっ!!」
「まぁまぁ・・・」
「お父さん!!まぁまぁっていっつもお母さん甘やかすんだからぁ!!」
目の前で活き活きと及川さんが喋っていた。
食卓に穏やかな笑顔と賑やかな会話が繰り返される。
家では…こんなに明るいんだな。
なんだかそんな光景に圧倒されながら、ふとそう思った。
学校での彼女はピンと張り詰めた弦のようで。
でも、ふと見せる表情や行動がすごく可愛いことも最近知った。
そして今は、頬を紅潮させて、歳相応な子供っぽさで両親と話す彼女が俺の前にいた。
俺の知らない、いや、きっと学校の誰もが知らない彼女の一面を見ることが出来て、すごく嬉しいと思ってしまう。
好きな人の明るい笑顔を見ることが、こんなに嬉しいなんて…
こんな感情、恋をするまで知らなかった。