「いらっしゃい!!璃都と仲良くしてくれてありがとう!!」
明るい口調でにこにこと声をかけられる。
及川さんの大人っぽい雰囲気とはあまり似ていない、でも、すごく優しそうなお母さんだなーと思った。
「無理に引き止めちゃってごめんね!!」
背がすらりと高くて、眼鏡が知的な感じの及川さんのお父さんに声をかけられて、俺はさらに恐縮してしまった。
なんか、あれよあれよという間にお家に上がることになって…
リビングの食卓に座らされて、及川さんの家族全員が俺を興味津々の目で見ていた。
俺の右隣に座った及川さんに少し顔を向ける。
及川さんは虚ろな目をして、「ごめんね…ほんとに」と小さく謝った。
「いや、俺は別に大丈夫だけど、いいのかな!?」
慌てて首を振って小さく言うと、俺の左隣に座っていた男の子(多分及川さんの弟)に聞かれたらしく、
「何ー!?何の話ー!?」
と聞き返された。
「え、あ、いや…」
答えに困った俺に、前から優しく声がかけられた。
「こーらっ。お兄ちゃん困らせちゃダメでしょ」
及川さんのお母さんが男の子に声をかけると、男の子はつまらなそうに机の脚を蹴った。
その直後…
プチン
前にも聞いたような音が隣から聞こえた…と思った瞬間
「もぉーー!!! 困らせてるのはお母さんたちでしょぉーー!!!」
顔を真っ赤に染めた及川さんが急に立ち上がって叫んだ。
俺はマジでビックリして、椅子がガタッと鳴るくらい身体がビクリと動いてしまった。