家の前に着いた時、なんだかすごく寂しくなった。


「はい、自転車」


自転車を渡されて、ハンドルに手をかけようとした時、少しだけ、手が触れた。


「あ…ありがと!!」


恥ずかしくって、ちょっと大きな声が出てしまう。


彼の顔を見上げると、玄関の明かりで彼の優しく笑う顔が見れた。


「また、明日学校でな!!」


「う…」




ガチャ。




「璃都??遅いから心配しちゃっ…!!!!!


パーパーー!!!!


璃都ちゃんが彼氏連れてきてる~~!!!」



返事の途中で、玄関の扉が開いた。


さっきの私の大きな声が家の中にまで聞こえたせいだろう。



目をキラキラと輝かせながら藤原創を見つめる母に、私はどうしたらいいかわからなくて、藤原創と一緒に呆然と立ち尽くしてしまった。



「え~っと、及川さん??」



戸惑うように声をかけてくる彼に、一言



「うん…ごめんね…」




としか答えれなかった。




だって…、もう家族全員が玄関まで出てきちゃってるんだもん…(泣)