10人くらいの人がサッカーボールを追いかけてるのが見えた。



藤原創の着ていた赤い練習着を探すけど、赤いのを着ている人の中に藤原創らしき人はいなかった。



なぁんだ……



少しがっかりしてる自分に苦笑してしまう。




「…帰ろうかな」







諦めて窓から目を逸らそうとした時

教室のドアがガラッと大きな音を立てて開いた。




ビクッと身体が緊張する。



「あっ……」



ドアの方から、たった今まで探していた人の声が聞こえて、思わず振り向いた。




……視線がつながる……






「あ、いや!あのっ!!」


藤原創はワタワタと慌てたように、早口で喋り始めた。



「いや、俺、用具室に草むしりに使えるもんがなんかないかなって探しに行ってて!!
それで靴箱の横通った時に及川さんの靴があったから、アレッて思って、それで、その、えーっと…」


練習着と同じくらい顔を真っ赤にして話す藤原創。


「あーっと、及川さん帰ったんじゃなかったっけ?って、俺がんな事いちいち聞くのもおかしんだけどっっ。
てか、俺マジでうざいよなっ!!
なんて言うか、ホントごめんっ!!!」





「くすっ」


つい、我慢できずに小さく笑ってしまった。


だってあまりにも早口でしゃべるし、そのうえよく意味もわからず頭下げられちゃって、なんだかわからないけど面白かったんだ。



「あ……え?」



藤原創は笑われた意味がわからないみたいで、きょとんとしていた。