二階の自分の部屋で窮屈な制服を脱いで、部屋着に着替える。
もうそろそろ…
「りーーとーー!!ごはんよーー!!」
いつものタイミングで母の元気に呼ぶ声が聞こえる。
「はーい。今行くー」
学校ではほとんど誰とも喋れないけど、家族の前では別。
うちの家族はとにかくよく喋るんだ。
今日学校であったこと、会社であったこと、
隣のおうちの猫のこと…とにかくなんでも話す。
だから、家族にはなんでも話せる。
ご近所でも有名な仲良し家族なのは、私の密かな自慢だった。
リビングに下りるとお母さんがパタパタとキッチンで夕食の準備をしていた。
「あ、りとちゃん!!
お弁当箱出しなさい!!
早めに洗っちゃわないと匂いとれなくなるから!」
「はーい」
さっき一緒に持って降りればよかった…と思っても後の祭り。
私は仕方なく二階の部屋にお弁当箱を取りに戻った。
暗い部屋の電気をつけて、机の上に置いた学校鞄の隣を見る。
何もない・・・・。
「ああぁ~~~。。
やっちゃったぁ~~」
ぼーっとしすぎるのも考えものだなぁ~なんて今更思っても遅かった。