「忘れたくないから」






「えっ?」


「忘れたくないんだ…



直接じゃなくても、誰かを傷付けたってことを…」









−−−−−−言葉がでなかった。







か弱いと勝手に思ってたからかな。



彼女の意志の強さを感じて、ひどく動揺してしまった俺。






そんな俺を見て、彼女は少し困ったように笑って言った。




「私、こんなだから…


友達作るの恐いんだ。



だから、ね…?



もうこうやってお話するのはこれっきりにしようね…」





それだけ早口に言うと、彼女はくるりと背を向けて走りだした。




「…っ及川さん!!」







背を向けた彼女は、俺の声に決して振り向くことはなかった。








「っくはぁ〜…。


初恋は実らねーって言うけど、まさか告白する前からフラれるものだとはなぁ……」



優しすぎて苦しむ彼女を救う方法なんて、まだまだガキな俺には全くわからない。






どうしたもんかなぁ…。



もう話すのよそうって言われて



友達になるのすらダメみたいで。





でも、俺の心に今ある感情は


何一つ変わらなかった。








好きって気持ちには限界なんてないみたいだ………