私の情けなく震えた声には何も言わず、藤原創は穏やかに笑って
「よかった」
と言った。
私はその笑顔に安心して、思わず疑問を口にした。
「……なんで?」
「ん?」
私の小さな声を、彼は聞き逃さなかった。
勇気を振り絞る。
「なんで……私なの…?」
さっきよりも少し大きな声が出せた。
緊張で繋いだ掌が汗ばむのを感じる。
「……から」
「…え?」
早口に言われた言葉が聞き取れず、私は聞き返す。
すると、藤原創は私の手を強く握って、言った。
「及川さんと話したかったから…!!」
私の心がまた、ピクンと跳ねた。
嬉しい……