「及川さん、行こ!!」



藤原創はニコリと笑って、自分の鞄を持っていた手に私の鞄も持つ。



右手は、呆然とした私の手をつかんでいた…



私は藤原創に手を引かれるまま、教室を後にした。






教室のある3階から1階へと階段を下る。


プールには校舎一階の廊下を少し進んで、途中にある扉から外に出ると行き着く。

普段はほとんど人が通らない廊下。



私は手を引かれながら、どうしてこんなことになっているのかを必死で考えていた。



「ごめんね、いきなり」



藤原創がぽつりと言った。


なんて答えたらいいのかわからなくて、私は何も言えなかった。



「怒ってる…?及川さん」


藤原創は立ち止まり、私を振り向いて心配そうに聞いてきた。


咄嗟に、否定しなきゃと強く思った。




「………怒っては…ない……よ」








声が…震えた…。