『はい………美羽です。』





待っていたのだろう。


きっと、ドキドキしながら、俺が怒っているんじゃないかって?


こんなに泣きそうな声を聞いてしまったら、俺は、抱き締めることしか出来なくなる。


謝るのは、美羽じゃない。


俺の方。


大人げないことに勝手に意地をはって、社長に腹をたてて。


くだらな過ぎて笑うことも出来ない。


美羽の声を聞くまで、そんなことも気付かずに、馬鹿みたいな時間を過ごしてしまった。



『………瞭くん……私ね』


「美羽、ありがとうね。」


『…え?』


「今日、来てくれてありがとう。嬉しかった。」


『……ほんと…に?』


嬉しかったんだ。

素直になろう。

自分の気持ちに。