男子から、初めて陽ちゃんを紹介してくれといわれたとき、わたしは即座に断った。
「クールで近寄りがたい」って勝手に判断してわたしに仲介を頼むなんて馬鹿げてる。
外見だけを見て陽ちゃんに言い寄る男が多いと気づいたとき、わたしは絶対に渡すもんかって思った。
でも、陽ちゃんが本気で人を好きになって、その人も陽ちゃんを本気で好きになったら、そのときは……
「陽ちゃんを譲ってあげる」
つぶやいて、わたしは音楽室の扉に寄りかかる。
陽ちゃんがわたしだけの陽ちゃんでなくなるのは、もうすぐ。
ちょっと寂しいけど……
「ここは、陽ちゃんの幸せを祈るのが親友ってもんでしょう」