麻山はゆっくりとその場にしゃがみこんだ
もちろんそれは私の目の前
眉間に皺をよせたまま私の顔をじっと見つめる
「あの…すみ「お前、写真好きか?」」
はぃ?
怒られるのかと思って謝ろうとしたが、全くの見当違いで
いきなりの唐突な質問に口があんぐり開いてしまった
「……ぇと」
はっと我に返り、どう言えば良いのかほんの数秒の間…机の下に隠れたまま考えた後
私は口を開いた
「好きですよ。写真は私の思い出を記憶してくれているものだから。嬉しいことも、悲しいことも」
写真は私の記憶の欠片
たとえ忘れてしまった思い出でも、写真はそれを忘れず私の分までちゃんと 覚えてくれている
いつまでも
「…そうか」
私の答えに納得したのかしていないのか分からないが、それだけ言うと膝に手をおいて再び立ち上がる
どこかへ行くのかと思って私は窮屈な机の下からのそのそと出た