「笹倉さん。話はもう済んだんですか?」

「ああ…まぁな…」

「え~?笹倉さんとどーいう関係?」

言葉を濁す笹倉さんに少し疑問を感じたが、ナツの間延びした声に思考を遮られる

「こいつは俺の助手だ」

「助手ぅ⁉」

ナツは目をまん丸にして私と笹倉さんを交互に見つめる

まぁ…助手というか、近い将来雑用係に任命されると思うけど

「それよりナツ、お前は早く現場に向かえ。遅刻したらこの前ぐらいじゃ済まないからな」

ギロリと鋭い目つきで睨むと、ナツは顔を青ざめながら勢いよく立ち上がった

「わ、分かってるよ‼じゃあね新人さん…の名前は?」

「架山菜月です」

「菜月ちゃんね!バイバイ!」

ナツは最後は笑顔で手を振ると、あっという間にこのフロアから姿を消した

…よっぽど笹倉さんが怖いんだな

ナツが居なくなると呑気に煙草を吸い始める笹倉さんに思わず苦笑いを浮かべた