目の前に広がるのは白を基調とした清潔感のある大きな事務所で、目の前には綺麗な女性が座っている受付があって

その奥は仕切りを隔ててデスクにかじりつき、黙々と仕事をしている人や電話片手にあたふたしている人達が大勢いた


壁にはsugar nightのライブ告知のポスターや私でも知ってる有名な歌手や俳優のポスターがずらりと貼ってあって、やっとここが何処なのか分かり始めた

「笹倉さん!!ここって芸能事務所かなんかですか!?」

やや興奮気味に聞けば何を今さらとでも言うようにはぁ?と呆れたような声が返ってきて

「阿呆か。入口に書いてあっただろう」

「いや…まぁそうなんですけど、初めてこんな場所に来たんでいまいち確証がなくて」

「ふーん…」

何となく理解したのか僅かに眉を上げ何度か頷くと、ちょっと待ってろと言って受付へ向かった

私は近くにあった小綺麗な椅子に座り一息つく

笹倉さんは受付で座っている女性となにやら一言、二言話し、女性は何度か頷くと受話器を耳にあて誰かと連絡を取りはじめた

『……はい、…分かりました』

「で、何処にいるって?」

『最上階でお待ちしてると』

「チッ…面倒臭ぇ」

苛立ちを微塵も隠さず堂々と舌打ちをして、後ろにいる私に目を向け「来い」と顎で指図する

「……」

なんでこうもこの人は偉そうなのだろうか…

でも、いちいちムッとしていたらこの先やっていけないな…と切り替えて立ち上がる

鞄の重みで少しふらつきながらも笹倉さんの後をついて行った