やっと絞り出すように目の前の男の名前を呼ぶと、男…もといsugar nightの中心人物であるシンは口を開く
「答えろ架山菜月。お前はあのときアイツと何があった。俺にはそれを聞く権利がある」
「それは…」
僅かに怒りを含んだ目を向ける目の前の男が怖くなり咄嗟に目を逸らすが、シンはそれを許さず
菜月へ詰め寄ると片手で菜月の顎を掴み無理矢理顔をシンの方へ向けさせた
「答えろ」
「…や」
「おい、少し落ち着け馬鹿っ!!」
笹倉さんの怒鳴り声と共にパコーンと良い音がして
「~~~っ!!」
よほど痛かったのかシンは菜月を掴んでいた手を離して、頭を押さえて蹲った
「…ったく、いきなりそんな顔で凄まれたら言いたくても言えねぇだろうが!!」
スリッパ片手に説教する笹倉さん
そのシュールな光景に唖然としながらも、シンさんがまた私に目を向けたので身を竦める
「…悪い。最近俺らの周りを興味本意の連中に色々嗅ぎまわられて少し苛々しているんだ。人気が上がってきた矢先にこの報道だからな…」
「いえ…私こそごめんなさい」
苦々しげに眉を潜めるシンさんに申し訳ない気持ちでいっぱいになった
シンさんはsugar nightが本当に大事なんだ
私がかき回したようなものだし…怒っても当然だよね
しゅん…と項垂れていたら「鬱陶しい」って何故か私まで叩かれて思わず目を丸くする
その顔が滑稽だったのか笹倉さんはハッと鼻で笑ったあと、どっしりと腰をおろして胡座をかいた
「…さてと。コイツも来て、お前も少し頭が冷えたところで本題に入ろうか?」
そういって私とシンさんを交互に見やりニヤリと笑った