「菜月ちゃんどうしちゃったの~?」

「…泣いてた」

「え!!嘘っ!?」

清水はギャーギャー騒ぐがそれに宮沢は構っている余裕はない

「でも、なんで…」

宮沢には架山が泣くような思い当たる節は見つからず、咄嗟に麻山に話掛けた


「麻山また何かした?」

棚にカメラをしまってる途中の麻山は顔だけ宮沢へ向けると眉を潜めて至極嫌そうな顔をした

「あたかも毎回俺が何かしているような口振りは止めろ。アイツの事だ、どうせまたつまらない事でウジウジしてるんじゃないか?」

「…それなら良いけど」


それでも心配の色を隠せず、しばらくドアを凝視していたがふと机に突っ伏してい銀髪の女の子が顔を宮沢へ傾けて小さく口を開いた

「女神の歌声に合わせて弦を弾く赤の君は、一羽の小鳥のさえずりに翻弄され、小鳥もまた赤の君の奏でる音色に翻弄される」

「…どういうこと?」

「お互いばかり気にしすぎて周りが見えてないっていうこと。心配している人が居るって分かって欲しいよね」

「…誰と誰?」

宮沢は問うが、銀髪の少女…平野鈴は綺麗な笑みを浮かべるだけで答えず、「お疲れ様」と、一言いって颯爽と出ていった



「赤の君…?小鳥…?」

新たな謎が増え、余計にモヤモヤする

「なによ…平野さんも菜月ちゃんも分かんなーい!!」

思い切り叫ぶが、何も知らない二人はただ怪訝そうな表情を浮かべるだけだった