「ったく…一応俺、アイドルなんだけど」

未だにブツブツ文句を言っている赤髪男さん

「聞こえなーい」

フンッてそっぽを向くと、自分の頭を柳井の肩へ乗せた



「…元気になったね」

「ん?なんか言ったか」

「ううん。なんにも」


首を左右に振ってごまかしたら、変な奴…って鼻で笑われた


「なによ…」

何か言い返そうとしようと思ったら


コツ…コツ…


柳井の足音に重複するように誰かの足音が聞こえてきた


コツ…コツ………

………

……



コツコツコツコツッ!!!

一度止まったかと思えば足音の間隔はやがて短くなり、次第に大きくなっていく

走っているんだとすぐに分かった



「…誰か来る」