大切な仲間に何も言わずに引っ越しちゃったってこと?
柳井はコクリと頷いた
「後から近所の人に聞くと、彼女の父親が急に転勤になったらしくて…
彼女とその家族は慌ただしく出て行ったんだってさ
おしまい。
悪いな、変な話なんかして」
ニィッと笑う柳井
なんて顔して笑うのよ…
「ねぇ…彼は今でも彼女のことが好きなの?」
どうしても聞きたかった
その男の子は長い年月が経った今でも彼女を想い続けているのかどうかを
「…さぁ?どうだろうな」
私の問い掛けに答えないかわりにフッと柔らかい笑みを浮かべた
まるで愛しいものを見るような
そんな酷く優しげな微笑みだった