「…いや」


そこまで考えたが、途中で考えるのを諦めた


今は架山を病院に連れて行く方が先決だ




俺は架山を起こさないように一旦自分から体を引き離すと、そっと横抱きにした

いわゆる世間一般でいうお姫様抱っこってゆーやつ(おんぶは落ちそうだったからやめた)



「…っと」


思っていたより随分軽くてすんなり持ち上がった


「ん…」

架山はもぞもぞと体を動かすとギュッと目を瞑り、起きるのかと思ったが


顔をこちらへ向けると再びスースーと寝息をたて始めた


「…っ…あぶねぇι」

フゥ…と安堵の息を漏らす



とりあえずみんなのところへ戻るか

きっとまだコイツの母親いるだろうし


笹倉さんに大目玉をくらうであろうという嫌な事は頭の隅に追いやって


足で扉を開けると、元来た道を戻り始めた