「ゴメンゴメンι」
柳井の慌てた様子が可笑しくてまた笑みがこぼれる
…ほんと
おかしいよね
つい最近まで苦手だと、嫌いだと思ってた奴なのに
今は…
柳井の事が知りたい…なんて思い始めている自分がいる
そんなこと翠に言えば「なんか矛盾してない?」って鼻で笑われるかもしれない
だけど
こんな気持ちになったのは本当に久々で…なにより新鮮だったから
なんだかくすぐったいようなこの気持ちを大事にしようと思った
『ちょっと…なに抜け駆けしてんのよ?』
「えっ…?」
棘のある口調にブルッと身震いして、恐る恐る振り返れば
『なに…この子』
『あんた近すぎなのよ!!いますぐ離れなさい!!』
お母さんを取り囲んでいた人達が仲良さげ?に話している私に気がついて、一斉に走り寄ってくるとすぐさま私達を取り囲んだ
さっきまで蜂の巣だったお母さんと立場が逆転してしまい、人事では無くなってしまった
「す、すいませんι」
ただならぬ殺気を感じてゆっくり後ずさりをすれば、誰かに腕を掴まれて動きがピタリと止まる