ドタドタドタッ!!!


「「!!!?」」


何やら後ろから物凄い勢いで近付いてくる無数の足音


ただならぬ殺気を感じて恐る恐る振り返った瞬間





お母さんが消えた




「…ぇ…えっ!?」



いつの間にか掴まれていたはずの手が離れていて

辺りを見渡してみたが姿かたちもない


チラリと横目で柳井を見れば手で口を覆って必死に笑いを堪えていた



「ちょっと…お母さん何処にいったのι」


不審に思いながら柳井に聞けば


「何処って…あそこ」

ほらって指差した先には
観客の大きな塊ができていて

目を凝らしてよく見れば

その中央に埋もれている…というか押しつぶされかけている一人の見慣れたワンピース姿の女性がいた