始まってからもう二時間半が経過していてライブも終盤に差し掛かっていた
そのためかファンの盛り上がりは最高潮に達していて俺達は歓声に答えるかのように
シンは俺達でも惚れ惚れするほどの甘い声で歌って俺達はそれに負けないくらい必死に頑張った
…相変わらずアイツの席は空席のままで、仕方ない事なんだけどやっぱり気になる
「さて、いよいよこれが最後の曲だよ♪」
ナツが俺の肩を軽く小突いて話を促す
ニィッと屈託のない笑みを浮かべるナツに俺はなんだか安心した
「この曲は…俺が大切な人の事を考えて作った詩をもとにして作られた曲です。滅多に歌う事のない曲なので初めての人も多いと思います」
…この曲は思い出を詰め込みすぎて俺達には重い
だから本当に特別な時にしか歌わない
今日がそのトクベツな日だったんだ
今日は…アイツがいなくなった日だから