正直…分からない


'お前を絶対ファンにさせてやる'


いつか言われた柳井の言葉が頭に響く




わかんないよ…


私は自然と自分の頬へ手をのばして軽く触れた



次…見に行けば、きっと何かが変わってしまう気がして




「…なんだよ」

小さく舌打ちをしたかと思えば突然ガタンと音がして


「…明日の準備あるんで、帰ります」

「あっ…おい柳井!!」

麻山先輩が引き止めようと声をかけるが無視して、カメラを鞄にしまうと逃げるように部室から出て行った


「お前なぁ…言っていいことと悪いことが」


「麻山は黙ってて」


ぶつぶつ言う麻山を制して瑞希先輩は心配そうにその場で立ち尽くしている菜月を見つめる



「…なによ」

当然、出て行った柳井を引き止めにいくことなんて出来るはずもなく

私は蹴られて寂しく転がっている椅子をしばらく見つめるしかなかった