「……もぅ」


小さく溜め息をついてドカッと椅子に座ると

目線の先には柳井がいて

柳井は大きく目を見開いたままその場に立っていた



…まさか、そんな筈はない


とでも言うかのように



そりゃあ私だって行きたくて行くわけじゃないんだよ?


ただ、折角もらったチケットを無駄にしたくないだけ



だったら



「おぃ…架「あーぁ。父さんが買ってきたチケット無駄にはしたくないし、よかったら瑞希先輩いりますか?」


柳井の言葉を遮るかのように、私は声を荒げて瑞希先輩へ話しかける




なんて嫌な奴なんだ…私



「いやぁ…遠慮しとくよιそりゃあ今人気のグループのチケットを手に入れられるのは嬉しいけど

お父さんだってきっと大好きな菜月ちゃんに行って欲しいと思ったから渡したんだと思うよ?」


困ったように笑うと、私が差し出したチケットをやんわりと押し返した



「…そうですよね。瑞希先輩の言うとおりです」

もっともな意見にただ頷くしかない


「そんなにそのライブに行くのが嫌なの?」



「それは…」


すぐにその次の言葉が思い浮かばず言葉に詰まった