「有名人だからといって特別扱いするつもりはない。だが、柳井は誰よりも技術面で優れている。その点では俺はあいつを特別扱いしているかもしれない」
「…矛盾してませんか?」
「そうかもな」
麻山先輩は呆れたように片方の口端をあげて自分で自分を嘲笑う
そんなに良い写真なのかな?
「あの…柳井の撮った写真を見せてくれませんか?」
「ああ、別に構わない」
そう言うと麻山先輩は立ち上がって左側にある棚の奥へと消えていった
「………」
一人取り残された私
待ってて良いのかな?
聞こえてくるのはカタカタと本を出し入れする音だけ
少しの間考えた結果ソファに座って待つことにした
しばらくすると麻山先輩が一冊のファイルを持って帰ってきた
「これが柳井の撮った写真だ」
「ありがとうございます」
両手でそのファイルを受け取ると、焦る気持ちを抑えてゆっくり開いた