「冗談よ♪あからさまに嫌がっちゃって~泣いちゃうわよ」
両手で顔を隠して泣く素振りを見せながらチラリとこちらを見る
さっきまで大人の女性のように艶やかに微笑んだかと思えば、子供みたいにあどけない笑みをこぼしたりとコロコロと表情が変わる
…なんなんだこの人ι
いまいち不思議なテンションについていけず、苦笑いで返していたら
「その辺にしておけ宮沢。コイツはまだ入部させると決まった訳じゃない。お前もこんな奴の話聞いていたら馬鹿になるぞ」
麻山先輩は素早く私の前に立って怪訝そうな顔で宮沢を見る
もちろん結城を腕に引っ付けて
私の想像上有り得ないと思っていた組み合わせに思わず吹き出しそうになったが、私を助けてくれようとしているのが分かったので頑張って堪えた
「ば…馬鹿とは何よ!!麻山なんて目つき悪いからみんなに嫌われんのよ!!」
宮沢は犬のようにキャンキャン言いながら麻山に罵声を浴びせる
「嫌われて結構。分かってくれる奴がひとりでもいるんだから別にいい。余計なおせわ…だっ!!」
麻山はほとんど右から左へ聞き流しているようで、気だるそうに口を開いて宮沢のおでこにデコピンを一発
「いったぁい!!乙女に向かってなにすんのよ!!」
「デコピン」
「なっ…あーもぅι」
悪びれもなく言えば怒る気力も無くしたのか、宮沢は椅子にストンと座り込んだ
…麻山先輩は強し。