「何してるの?ミア」

「!…何でもない」

扉を閉めようとしたらマネージャーの荒木さんがいた。

「さぁ、帰るわよ。明日の仕事は休みだから学校に行けるわね」

…学校、か。

その前に家に帰りたくないな…。

「…うん」

メイク道具と衣装を持ち、控え室を後にした。

車に乗り込み、流れゆく景色に目を向ける。

街が早く流れてゆく。

…けど私には、なんかだか早すぎて止まって見えるよ。

街の色さえもわからないよ。

―――……

「…ただいま」

家のドアを開け、いつものように、挨拶をして入る。

けど、誰も返してくれない。

「………」

慣れたがらもう何とも思わない。

寂しいなんて、もう思わない…。