『じゃあ皆さん!!お元気で!』

コンサート最後の曲を歌い終わり、私は急いで壇上から立ち去る。

控え室に戻り、メイクも何もかもを元の“陽菜”に戻す。

“陽菜”に戻った自分を見て、先ほどまで我慢していたものが溢れ出す。

「……ふっ…うっ…」

“カタン”

「?」

ドアに何かが置かれた音がした。

不思議に思い、ドアを開けると…。

「……これ…」

置かれていたのは栄養ドリンクと手紙だった。

とりあえず、涙を拭い手紙と栄養ドリンクを持って椅子に座る。

「…誰から?」

手紙の裏を見ても、どこを見ても名前が書いてない。

手紙の封を開け、中身を読む。

“陽菜ちゃん、今日はありがとう。
久しぶりに陽菜ちゃんの歌を聞いたよ。
相変わらず、天使のような歌声だったね。

これからも、体に気をつけて頑張って。
僕はずっと応援してるからね。
もう、泣いたらいけないよ。”

…誰?

私の名前を何で知ってるの…?

手紙を読み終わり急いでドアを開ける。

あたりを見渡しても、もちろん、誰もいない。

一体、誰なの……?