お母さんが死んで13年。

その日から、優斗君の姿も見なくなった。

13年たった私の記憶の中では、優斗君の姿は薄れていった。


それから私は、少しでも自分の歌がお母さんに届くように、
歌手として歌い続けている。

でも最近は、お母さんのためじゃなく、

ただ仕事のために歌っている。


ファンのためだとか、仕事とか、私は何のために歌手になったんだろう…。

大好きだった母に歌をたくさん届けたい。

そのために、この道を選んだのに…。

「はぁ…。」

次の公演場所まで車で移動しながらそんな事を考え、
私はため息をついた。

「何ため息ついてるの?もぅすぐ次の公演場所に着くわよ。」

私の隣りに座っているマネージャーが声をかけてきた。