「……ん」

「あっ、ありがとう」


うつむき加減でソファーに座る真奈美にアイスコーヒーを渡す。


「…………」

「…………」



お互い無言でコーヒーを啜る。
テレビをつけてないから余計に響く。


こうゆう時、自分の口下手さが嫌になる。

だから、自分から何も聞けない。


その沈黙を破ったのは真奈美だった。


「…ありがとね、陽菜」

「…別に。あそこにずっと入られたら私が迷惑だから」


確かに、と笑う真奈美にシックリこない。
コーヒーを持つ手が震えてるのは私の気のせいじゃない。

だから、憎まれ口しか言えない自分が悔しい。
励ます言葉すら私の口から出ない。



どうした?

何かあった?

大丈夫か?




それさえも言えずに、震える手を見つめるしか出来ない。



「…ねぇ陽菜。ちょっとの間、こっちに居させてくれない?」

「…………………はぁ?」


たっぷり間を開けてやっと出た言葉。

私の反応が面白かったのか、クスクス笑っている。


………それでも…私が癒されていた真奈美の笑顔とは、程遠かった。