「じゃあしっかり勉強すんのよぉー」
じゃあね、と助席の窓が上がっていく。
私は短く、ん、と返事をし荒井さんの車を見送った。
そして私の日課になっている、ポスト覗き。
覗きっていっても自分のポストをチラ見程度。
今日わ…きてない。
それを確認すると、エレベーターまで向かう。
別にいい。
きてようがきてまいが、関係ない。
…ただ、確認してしまうのは自分があの手紙に少なからず救われているから。
ふと、そんなことを考えていたら自分の階に着いたらしいエレベーターが間抜けな音をたてた。
ドアが開きスタスタと自分の部屋を目指す。
「……ん?」
誰かが自分の部屋のドアに持たれかかっている。
無言で近づく。
薄暗い灯りの中で見えたのは
「…なんだ。真奈美か」
「…あ、陽菜」
…あのバカすぎるウルサさがない。
「…どうした?こんな夜遅くに」
私は真奈美の方を見らず、ドアのカギを開ける。
「えっと…」
「…はぁ。とりあえず、入る?」
気まずそうに言い澱んでいる真奈美に聞くと、やっぱり元気なく『うん』と頷いた。