「…はい」

ピッと機械音の後に返事をして後悔した。
なんで、名前を確認しなかったのだろう。

『陽菜!やっと電話に出てくれたな!』

聞きたくない声の主…。

父だった……。


『あっ!!切らないでくれよ!』

「…あんたと話すことなんて何もない」

『別になくたっていい。娘の声が聴きたかったんだ』

「ッ!…何、今更父親ぶってんの!?ふざけないで!!」

『陽菜っ…聞いて…』

「誰が聞くかっ!!あんたは私と何にも関係ない!!今まで通り母さん忘れて女と遊んでろっ!!」


ピッと電話を終了しそのまま携帯の電源を落とした。



なんで…こんなにも…

なんで…こんなことに…

なんで…こうなったの…



どうして…家族なのに…こんなに捻れてしまったの…?


どんなにぶつけても、思っても仕方のないことくらい分かっている。

分かっているのに…今、零れているものを止める手段を私は知らない。


母さん。私…何を間違ったんだろう…。