夕陽を背に2人で沢山買った袋を持ち、家路を辿る。

しばらくは静かに歩いていたが、いきなり真奈美が話しだした。

「あぁ~!!楽しかった♪」
「そう。私は疲れただけだった」

その言葉に真奈美は頬をぷくっと膨らませ、

「楽しかったと言いなさい!!」

と怒った。

「ハイハイ。“楽しかった”」

真奈美はむぅっと唸ったが、フッと表情を緩め前を向き、また沈黙が訪れた。

別に静かなのは嫌いじゃないから、この静かさに居心地の悪さは感じない。
むしろこの静かさは居心地が良い。

だが静かだと、考えてしまう。

さっき見た、橘が…。

彼が出てきた場所…。

持っていたモノ…。

そして…彼の曇った表情…。

全てが気になり、考えてしまう。
何より、あの曇った表情…。

どこかで見たことがある気がする。


そんなことを考えていたら、もう自分の家に着いていた。